【第2章】相続税の節税対策の王道、不動産投資

土地は更地で持っていると損、売ってしまうとさらに損

家族会議で呼ばれた際、よくこんなアドバイスをすることがあります。

「土地は売ってしまうと余計な税金がかかります。土地の名義をお父さんのままにしていて、お子さんの名義で建物を建てれば、土地の評価額が下がって、相続税を安くしたり、場合によってはまったくかからないようにもできます」

「お亡くなりになったら、そのまま相続されるので、土地を処分して余計な税金を払うより、こちらの方が得です」

相続人が二人以上いるのであれば、不動産を相続しない方には、お金を渡す約束をしておけば、多くの場合、そんなにもめずに解決します。「だから、分けるお金がないから土地を売るっていう話になるの!」と言われそうですが、お金は土地を売って作るのではなく他の方法で用立てするのをお勧めします。

先ほども説明しましたが、土地を売却してしまうと、譲渡所得に対して課税されてしまいます。土地・建物の購入原価が高い場合は譲渡課税されませんが、買った時の売買契約書がない場合は、売った価格の5%としか原価として認めてもらえません。

また、保有期間が5年以上経っている場合、売り上げから原価と諸経費を差し引いた利益にあたる部分に、長期譲渡として20%の譲渡課税がかかります。もし保有期間が5年以内であれば、短期譲渡で40%もの税金がかかります。

例えば、50年ほど前、祖父の時代に取得した土地があったとします。当時の取得価格は、それほど高額ではなかったかもしれませんが、都心のいい場所にある場合、今売ると1億円くらいになっていることも少なくありません。

この場合、原価は500万円になるので、売値から原価を引いた9500万円が譲渡課税の対象になります。この場合は長期譲渡なので、税率は20%です。9500万円の20%、つまり1900万円が譲渡課税されてしまうのです。

結局、仮に一億円の土地を持っていても、売ってしまったら残りの8100万円を相続人で分けることになるのです。1900万円の税金を「安い」、または、「しょうがない」と納得できるのであれば、売却するのも良いと思います。

しかし、1900万円の税金を「高い」または「税金をなるべく安くしたい」と考えるのであれば、売らない方法を考えることをお勧めします。土地を売るのはあくまでも最終手段だと理解しておいていただきたいと思います。

ご家族によって事情はさまざまなので、最終的にはやはり土地を売って相続人に分ける方法を選択されるご家族もいると思います。その場合でも、やはり被相続人が健在なうちに土地を売却し、その後、各相続人にどう分配するかは決めておくべきです。

さらに言うと、被相続人の生前に、家族会議で分配方針を決めたとしても、被相続人が亡くなってから、「やっぱりもっと欲しい」と誰かが言い出さないとは限りません。家族間で禍根を残さないよう、決めた相続の内容については公正証書遺言を作成しておくことをお勧めします。

※本記事は、2018年7月刊行の書籍『「金融大工」が知っている 一番わかりやすい相続対策』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。