第3章 ストレスは、たぶんあなた自身が作り出している

① 30歳にとってのストレスの正体​

「悪者」という思い込みがストレスを作っている

ほとんどの人が、ストレスに対しては、「有害」とか「悪者」のイメージを持っていると思います。事実、ストレスは万病のもとといわれるように、ストレスが原因で、うつ病や依存症などの精神疾患を発症したり、胃潰瘍、心疾患、脳血管疾患やガンなど、様々な病気のリスクを高めたりします。

そのため、学術用語ではないのですが、「キラーストレス」という、なにやら恐ろしいワードを聞いたことがあるという人も少なくないでしょう。当然のことながら、病気になるほどではなくても、誰だって、日々経験するストレスによるイライラやプレッシャーは、ない方がいいに決まっています。

明日、プレゼンがあると思っただけで、胃が痛くなるとか、眠れなくなるという人は、いませんか。そんな方は、もしかしたら、ストレスを悪者扱いすることが得意な人かも知れませんね。

ストレスには、日常生活の中の些細な出来事から、人生上に起きる出来事までいろいろな種類があることは、これまでにお話ししてきたとおりです。結婚や新しい家族が増えること、職場での昇進など、喜ばしい出来事もストレスになると聞いて、驚いた方がいたかも知れません。

ということは、私たちが経験するすべての出来事が、ストレスになりかねないということになります。ストレスを避けて、私たちは、もはや生きることはできません。

私たちは、今日という日を中心に、過去と未来の間で生きています。もう一度、過去に遡ることも、未来へ行くこともできません。ということは、あの時、ああすれば良かった。あの日に戻ってこれまでの人生で経験した辛いことすべてを、魔法のように消し去れるならそうしたい。自分が抱えている問題のせいで、生き甲斐のある人生を送れない。未来の自分を知りたい。などと思ってみても、それは不可能なことなのです。

不可能だと分かっていながら、私たちの多くは、ついつい、あの時、ああすれば良かったと、過去の出来事や失敗を悔やんでは、ストレスのスパイラルに巻き込まれてしまいます。もちろん、ストレスを産み出している原因は、過去を嘆いたり、未来を悲観したりすることだけではありません。日常生活におけるストレスに対して感じるイライラ、ドキドキ、ビクビク、ヘトヘトなどといったネガティブな感情も、心穏やかに過ごせない原因になるでしょう。

先ほど例に挙げたプレゼン前に感じるドキドキ・ストレスならば、終わってしまえば解放されますが、一緒に仕事をしているメンバーに馬の合わないヤツがいれば毎日がストレスでしょう。人間関係や仕事上の問題など、日々の些細なストレスの積み重ねは、気づかないうちにあなたの心身に悪影響を及ぼします、というお話をしたことを覚えて下さっていますか。

しかし、良い方法があるのです。同じストレスであっても、あなた次第で、そのストレスを「悪者」にも、あなたの「味方」にもできる方法がある、ということを、ぜひ知っておいて欲しいと思います。それこそが、ストレスが持っているマジックです。

実は、そのマジックの源は、あなたの心の中に潜んでいます。ここまで読んで、言っている意味がさっぱり分かりません、という方、焦らないで下さい。ストレスをあなたの「味方」にする方法は、第4章で、ちゃんとお話しします。

その前に、まず第3章では、「ストレスは悪いものだ」という思い込みによって、ストレスを「悪者」にしてしまう、ネガティブ・マジックについて、私の経験を踏まえてお話ししましょう。

※本記事は、2020年3月刊行の書籍『Over Thirty クライシス』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。