第1章 補助金の基礎知識

この章では、補助金に関する基本的な説明からメリットまでを簡単に説明します。

補助金とは?

補助金は経営者の「権利」です

「補助金」

この言葉を、耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。最近テレビやインターネットでよく見かけるようになったこの言葉、よくご存知ない方のために紹介しておきましょう。

この言葉は、読んで字のごとく「やりたいことを補助するお金」です。例えば、「半年後、ここにお金をかければ、売り上げがもっと上がって、いずれは社員を増やせるかもしれない」。

このとき、補助金を活用すれば経営者のお金の負担を減らすことができます。要するに、補助金は経営者のチャレンジを後押しする制度なんですね。

では、どんなチャレンジにも利用することができるのでしょうか?

国や自治体は、日本をもっと良くしていきたいと考えているため、企業がもっと業績を伸ばせるような挑戦を応援しています。補助金の財源は皆さんから集めた税金ですので、もちろん限りがあります。そこで国や自治体は、特に力を入れてほしい業界や分野にしぼって、補助金が使える企業の取り組みを決めています。

つまり、補助金は経営者だけが使える権利なのです。

 

たくさんの種類の補助金がある

では具体的にどんなチャレンジが補助金の対象になるのでしょうか? 補助金は国・都道府県・市区町村を合わせると数百種類が募集されています。

それぞれの補助金ごとに、どんな業界の企業が、どんな挑戦に対して支援を受けられるかが決まっています。例えば、中小企業庁が出している「小規模事業者持続化補助金」は個人事業主、数名規模の法人向けの補助金です。経営者は従業員の給料を引き上げたり、社会保険を支払ったりと、責任や負担が大きいので、売り上げを増やしていかなければなりません。

売り上げを増やすためには、お客さんにたくさん商品を買ってもらう必要があります。そこで、商品の開発費用や広告宣伝費に対して、国が補助金を出す、というわけです。このような情報は「公募要領(補助金のルールブック)」にまとめられています。

もう一つ例を挙げてみましょう。

有名な補助金の一つとして、中小企業庁が出している「ものづくり補助金」というものがあります。正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」と言いますが、長いので覚えなくて良いです。

簡単に言うと、自社が今までに築いてきた技術や実績などを使って新しい商品を製造したり、あるいは生産工程を見直して一度にたくさんの商品をより安く提供したりする取り組みに使うことができます。これは創業間もない企業というよりは、数年会社を経営して、次の打ち手を考え出す段階で活用するものです。

補助金の対象になる経費も、新しい商品やサービスをつくり上げるものに特化していて、主に設備導入費用や商品開発費用が対象となり、逆に広告宣伝費は原則補助対象になりません。

今までは国から出される補助金を紹介してきましたが、似たような補助金は都道府県単位でも募集されています。東京都の「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」は東京都内で事業を行っている中小企業が申請できる補助金です。

ものづくり補助金と同じく、機械設備の導入費用を補助金の対象にすることができます。

このように、補助金は国以外でもたくさんの種類が年中募集されているんですね。