流儀一 発想を変えよう

05 ターゲットは単身者。「狙い目物件」の常識を疑え

物件の立地条件も疑え

私が本書で述べようとする大家さん業のノウハウは、本屋さんにたくさん並んでいる不動産投資本と真逆である場合が少なくない。ここまで読んで「あれっ」と思った人も少なくないだろう。

たとえば、不動産投資の初心者、ましてサラリーマンであれば、まずはワンルームマンションをすすめるというのが普通だ。しかし私は最初から一棟物件の大家さんになることをすすめている。大家さん業も、やはり競争の世界だ。ライバルに負けないためには、同じ発想をしていてはだめだ。そこで「発想を変えよう」ということで、私の流儀その一をお届けしてきた。

こうした発想からは、あなたが狙う物件のタイプや立地条件も、従来の常識を疑えということになってくる。

東京・山手線、大阪・環状線の内側ならいいか

たとえば物件の立地条件は絶対ではない。よく駅に近ければ近いほどがいいとか、大阪だったら環状線、東京だったら山手線の内側がいいとかいうが、それは一般論であって、絶対ではないのだ。

なぜなら、駅に近い物件は、同じように駅に近い物件同士で、実際は競合しているのだ。同じ駅から徒歩5分の物件の中でどれだけ借り主にアピールする物件を「演出」できるのか。そこに大家さんの知恵を発揮する余地がある。

ましてや東京・山手線の内側がいいとか、大阪・環状線の内側でなければだめとかいった議論は、まったく意味がない。

需要があるのに供給が少ないエリアこそ狙い目

たしかに山手線の内側とか環状線の内側とかいったエリアは、だれでも一度は住んでみたいという意味で、ステータスの高いエリアではある。

しかし、あたり前のことだが、賃貸住宅には大家さんが自分で住むわけではない。自分の所有する賃貸住宅が常に満室で、計画に沿った家賃収入が得られる場所なら、エリアのステータスにこだわる必要はまったくないのだ。むしろ「住みたい街ランキング」のようなファミリー向けの人気ランキングからこぼれ落ちているような場所こそ狙い目といえる。

入居者のターゲットも疑え

ここまできたら入居者ターゲットも疑ってみよう。学生向け、女性限定、単身者向け、新婚向け、ファミリー向け。賃貸住宅には、部屋の大きさやグレード、立地条件などから、さまざまなターゲットを設定するのが普通だ。ターゲットを絞り込むことは賃貸住宅を経営する大家さんにとっても重要だが、住んでくれる人のことを考えた結果でもある。

たとえば新婚カップルに人気の1LDKや2DKといった間取りの部屋と学生向けのワンルームを1棟のマンションの中に同じ数だけつくったら、どうなるか。

結論からいえば、いくら大家さんが新婚カップル向けにと内装などに工夫をこらしても、その1LDKや2DKには、まず新婚カップルが入居することはない。募集の際にいくら「新婚さん歓迎」とうたっても、となりに学生や単身者が住むと思われるワンルームがあれば、新婚さんは敬遠するのが普通だからだ。同じことはファミリータイプにもいえる。

そうなると新婚カップル向けやファミリー向けだけにターゲットを絞った1棟マンションやアパートをつくればよさそうだ。ところが実際には、そううまくはいかない。

ファミリーでもなく学生でもなく、ターゲットは単身者

新婚カップル向けは、子どもができれば手狭になるので、どうしても入居期間が短くなりがちだ。また新築を好む傾向があるので、古くなると入居率がおちる。

2LDK以上のファミリータイプは入居期間は長いが、いったん空き部屋になると次の入居者が決まるまで時間がかかるのが問題だ。またファミリータイプは広さの割に家賃が低いという欠点もある。たとえば30平米の1DKなら8万円の家賃が設定できる場所で、倍の広さの2LDKで倍の16万円の家賃が設定できるかというと、難しい場合が多い。

また学生向けは、入れ替わりは激しいが、常に新しい需要があるという点はプラスだ。だが近所に大学がない場合、学生向けにターゲットを絞ると意外に苦戦する。

このようにみてくると、ターゲットを絞るなら、これはもう、ファミリーでもなく新婚さんでもなく、学生でもなく、20代後半から30代のサラリーマン、つまり単身者ということになる。

※本記事は、2020年5月刊行の書籍『年収400万円でも大家になれる 工務店社長が教える5つの流儀』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。