第2章 あなたの心は健康ですか?

③ 心が健康である条件​

『風に立つライオン』にみる心が健康である要素「強み」

「心の健康」に対する捉え方が、この章を読み始めた時と少し変わりましたか。日常些細な苛立ち事(デイリーハッスルズ)の積み重ねは、知らず知らずのうちにあなたの心を蝕んでいきます。心の健康を保つためには、あなたの心の物差しに、常に気を配っていることが重要です。

さらに、憂鬱なことがある、やる気が出ない、最近よく眠れない、すぐイライラしてしまうなどといったネガティブな心の状態に目を向けることだけが、「心の健康」について考えることではありません。自らの生き様をきちんと見つめ受容できているか、他者との良好な関係を築けているか、生き生きとした生活を送れているか、などポジティブな側面にも目を向けなければいけません。

さて、あなたは、ストレスで倒れそうになっても、踏ん張れるしなやかさと、多様な対処の手段を持ち、今日を悔いなく生きている「心が健康」な人でしょうか。

サプリメント・「心の健康」に必要な柔軟性

世の中には、物事の白黒をはっきりつけなければならないことがあります。しかし、白でも黒でもない灰色の場合もあって困ります。最近では灰色部分の「曖昧さ」を認めない風潮が強くなり、はっきりしないことが嫌われます。

こうした社会の風潮は私たちのものの考え方にも反映し、「白か黒」「右か左」「1か0」といった杓子定規な判断が求められる場合が多くなっています。この考え方は、「~するのは当たり前」とか「絶対に~しなければならない」といったいわゆる「ねばならない思考」の人が増えていることと関係しているように思います。

曖昧さを認めない「ねばならない思考」は、私たちの心の健康を左右します。「~しなければならない」と決めたことが達成できなかった時に、「もうだめだ」と悲観して自分を責める人に比べて、「頑張ったんだから、仕方ない、次頑張ろう」と思う人は、どれだけ気が楽になるかおわかりでしょう。

こうした杓子定規ではない考え方のことを「曖昧さの受容」といいます。これは決していい加減で無責任な考え方を推奨するものではありません。判断の基準に余裕を持たせるとともに、曖昧なものは曖昧にしていてもよいのだ、と考えることによって判断に柔軟性が生まれます。ストレス対処の選択にも幅が広がります。

このスキルを身に付けて、「ねばならない思考」から解放されれば、柔軟で余裕のある心の持ち主になれるために、良好な対人関係を築くうえでも大いに役立つでしょう。自らの苦境をネガティブに捉えて落ち込むのではなく、曖昧さを認めるポジティブで柔軟なストレス対処法で乗り切ることによって「心の健康」を維持、増進して欲しいと思います。

※本記事は、2020年3月刊行の書籍『Over Thirty クライシス』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。