【前回の記事を読む】経済の低成長を解決するために「少子高齢化を何とかしなければ」というワケ

第一章 日本経済の分析

少子化による低成長化

その証拠に、日本の輸出額は毎年安定して増え続けている反面、国内の民間需要はバブルが弾けてからほとんど成長していません。そしてこの事は、近年急激に経済成長しているインドや中国、ロシアなどにも同じような事がいえるのです。

これらの国々は、EUやアメリカなど移民によって成長してきた国々とは違い、二〇〇〇年から現在まで人口の推移が横ばいか、せいぜい一割程度の増加に対して、それ以上に大きく経済成長を果たしています。

写真を拡大 主要発展途上国の20年間の経済の推移

そしてこの事は、第二の反論についても同じ事がいえるのです。現在の日本経済は、けっして人手不足による供給不足が問題なのではありません。需要不足による、供給能力の低下が問題になり始めています。

日本は現在、戦後五十年かけて作り上げてきたこの供給能力を、需要不足によって持て余している状態です。そして、この素晴らしい供給能力を我々経営者は、たとえ目先の利益を削ってでも少しでも長く維持しようと長年努めてきました。日本で消費者物価が常に下がり続けている(デフレスパイラル)のは、実はこのためなのです。