管理部門のB管理も倒産した。管理業務を担っていた部門である。契約後、管理を含めて全てをA社並びに村上氏に委ねていた。目の前が真っ暗になった。

「どうしたらいいのか?」

「これからどうなっていくのか」

A社倒産直後は、何をどうしていいのかわからず途方に暮れるのみであった。とにかく現状の把握をしていかなければならない。いずれの物件とも入居者がついており、月々の家賃は入ってきている。先ずはこれをきちんと管理しなければ返済が滞ってしまい、自己資金がこれに回ってしまう。

関連会社を含めたA社の倒産以降、時間の経過とともにインターネットに流れる様々な情報により、経緯・現況・見通し等々、少しずつオーナー各自の置かれた現在の状況が理解できるようになってきた。

B管理の杜撰(ずさん)な管理体制やほとんどの物件で管理組合が立ち上がっていなかったことや、A社倒産後、同社が保有していた物件管理に司法の手も加わり、法律的に物件管理はD社に全て移行されたことを知ることができた。ここに至るまでの間に全国に散らばるオーナーが危機感からいろいろな動きをしていたこともインターネットからの情報から把握することができた。

A社倒産直後、私を含め多くのオーナーは途方に暮れたと思う。インターネットに流れたこの件に関する結びの言葉が当時の私の心中を的確に表現していた。

「A社の杜撰な管理を看過してきたことを鑑みれば、破綻して初めて危機意識に目覚めたオーナーも少なからずいたと思われる」