花と木沓

八月十四日

「夕日の一矢が草にはね 赤つめくさの首が折れ 写生の少女はクレオンをしまう…」

はっと気がつく

もう夕方が近いのだと。

夏でも北海道は夕方になるとさあっと肌寒くなるので

夕方戸外にいる事は禁止されているのだ。

見上げると、まだ澄み切ったの空にところどころ

まばゆい雲が金線をひいている。

鮮やかだ。

染物の河原流しを想い出す。

賀茂川の友禅流しを想い出す。

ひっそりと鳴り止んでいる鐘楼の屋根の上に

友禅は花のように乱れてグングン拡って行く…

私はもう部屋に戻らねばならない。

こんなところを見つかると

罰として日曜の午後に昼寝をさせられる。

日曜は着飾った村の信者達もミサにやって来る。

なんとなくワクワクする日なのだ。

 

八月二十日

こんなよい気分があるだろうか

体力充分のため夜でも外気にあたってよいとのこと、

牧場で星をみる。

かえり来て

肩うちはらう

星月夜

あーら、いやだ またゲタをはいてるわ

そのうえ、やけにポーズしてるのね

神様、なんだか私はとても恥ずかしいです