【前回の記事を読む】【東洋医学】血液循環がうまくいかない…瘀血が生じてしまう原因とは?

第1章 病気になる原因を考え、その改善のヒントを得る

捻れは何故生じるのか

捻れは、骨格系の変位が主な原因ですが、結合組織の変性や筋肉系の変性も原因となります(軌跡:124頁以下)。

又、五味先生の骨盤調整理論も参考になります(骨盤調整法:80頁)。

私の考えは、以下の通りです。骨格系は勝手に動いたまま変位する訳ではなく、結合組織や筋肉系の変性が回復しない状態が続く事により変位が固定するものであり、それは、組織や器官への血流障害と冷えをきっかけとして起こるものです。その他に、打撲や外傷による瘀血(おけつ)の滞留や、特定の姿勢を続けている事による姿勢性の変位を原因とするものも考えられます。以下に分類して考えてみます。

内臓疾患が原因であるもの

例えば、胃に潰瘍やポリープがある場合には、人間は上体が左下方に傾きやすくなります。その方が楽に姿勢を保てるからです。そしてその状態が続くと、胸椎11番を中心とした、脊柱起立筋や広背筋や下後鋸筋の左右バランスが崩れ(近藤哲二先生の理論によると、筋電位の左右差の増大を意味します)その結果、脊柱のS字カーブが、前後と左右で同時に崩れ、体幹が捻れてしまうのです。

この捻れ状態が続くと、頸椎や腰椎にも変位の影響が出てしまい、肩こりや腰痛等の疾患になります。体の左右の血流が不均衡になり、筋疲労が残るからです。

この状態を改善するには、五味先生の骨格矯正だけでは不十分です。根本原因である、内臓疾患を治さなければ、いずれ、弯曲状態に戻ってしまうからです。

従って、長野式ポリープ処置をする必要があります。ポリープがある患側の、厲兌(れっけつ)と内庭に置鍼して、解谿を雀啄(じゃくたく)します。同時に健側の上太白と商丘に置鍼して、陰陵泉を雀啄(じゃくたく)します。左右の魚際と労宮の置鍼も必要です。こうすると、ポリープ状態が緩むのと同時に、健側の膵臓部や胆嚢部の炎症や潰瘍が回復していきます。

同様の治療は、胃痙攣や胃カタル、胃内停水が原因での、捻れにも効果的です。

外傷・打撲が原因であるもの

外科手術はもちろん外傷や打撲や捻挫に伴う、微小血栓による血流渋滞は、大巨穴付近に必発します(軌跡:57頁)。この瘀血(おけつ)塊があると、組織の血流量に偏在が起こり、放置していると、体幹の捻ればかりでなく、骨盤内臓器の疾患になる原因ともなります。この状態を改善するには、長野式腹部瘀血(おけつ)処置が効果的です。

瘀血(おけつ)を解消させてから、五味式骨盤矯正をします。すると、捻れがとれます。