はじめに

「人生に無駄な経験など一つもない」と言う言葉があります。

私は自分の過去をふり返った時、

「私の人生も、その類から外れていない」と強く実感しました。

そして、改めて自分のたどった道筋に思いを馳せたのです。

私の歩んだ人生は、その轍に激しいデコボコがあります。

その轍をたどると、豊かに恵まれていた生活にも貧しさに耐えた暮らしの中にも、そこにはそれぞれ失いたくない大切な思い出や想いが見えました。

そしてそれはまぎれもなく、私に幸せを運んでくれた人生の花のように見えたのです。

私は今年七十八歳になりました。

その三四半世紀にわたる人生の轍にどんな花が咲いていたのか。それはどんな幸せを運んでくれたのか紐解いてみたいと思います。