CHAPTER1 胃腸を制すものが健康を制す

胃腸が悲鳴を上げる5大原因は「ピロリ菌」「暴飲暴食」「自律神経のバランスの乱れ」「加齢」「ストレス」

原因3:自律神経のバランスの乱れ胃腸と自律神経の関係

胃腸の働きには自律神経が深く関係しています。自律神経とは自分の意志とはまったく関係なく、刺激や情報によって反応して体をコントロールしてくれる誰にでもある、ありがたい神経なのです。手足は主に意志によって動かしますが、胃腸は食べ物が口から入るという刺激に反応して、蠕ぜん動どう運動という動きが促されます。これも自律神経の働きのひとつです。

自律神経は交感神経と副交感神経の2種類があります。このどちらかが優位になることで、体を活動的にしたり休息したりとバランスをとっています。

①交感神経優位の時間が続くと胃に支障をきたす

交感神経は体を活動モードにしてくれて、働くのは主に昼間です。仕事や家事、育児、運動、勉強など気を張ったり集中したりしているとき、またストレスを感じているときにも働きます。この交感神経が優位になっているとき、体に力が入るので筋肉が硬く緊張して血管も収縮します。脳にしっかり血液を送るため胃腸はしばしお休みの状態です。

交感神経が働いているおかげで、機敏に動けたり家事をこなせたり、頑張ることができるのです。しかし、この交感神経が常に優位に働いていると、心も体も休まる暇がなく、緊張にさらされている状態といえます。そして胃腸は消化吸収活動が鈍って、なかなか消化できません。長時間、食べたものが胃腸に停滞し、胃もたれをすることがあります。

②副交感神経で消化吸収活動が活発になる

一方、副交感神経ではリラックスモードになり、働くのは主に夜です。夕方くらいから交感神経と入れ替わり、眠っているときに働きがピークになります。ゆったりとした食事の時間、「ふーっ」とひと息ついたお風呂の時間はまさに副交感神経が優位の時間帯です。副交感神経が優位になると、筋肉が緩み、心拍数も下がります。

一方、胃腸の働きは活発になり、消化吸収活動が盛んになり、食べたものがよく吸収され便通も促進されます。消化・吸収・便通(排泄)という胃腸のリズムを整えてくれるだけなく、ケガや肌の修復、疲労の回復も行ってくれるいわば体のリカバリータイムなのです。とても重要な時間です。52こうして1日のうちに、交感神経と副交感神経が切り替わることで私たちの体はバランスよく保たれています。

自律神経のバランスの崩れが胃痛や便秘の原因になる

夜遅くにご飯を食べたり、遅い時間まで起きていたりすると、なかなか副交感神経に切り替わらず、消化吸収の作業が滞ってしまいます。こうした生活習慣の乱れによって胃の本来の活動がスムーズにできなくなることで、胃がもたれる、痛い、気持ちが悪い、おなかが張る、便秘といった不調が現れるのは無理もありません。