【前回の記事を読む】日本の財政改善をうたう財務省…彼らが示す「ワニの口」ってなに?

第一章 日本経済の分析

日本の財政は本当に破綻(デフォルト)しないのか?

 

まず、彼が主張しているワニの口を閉じるためには、政府の歳出を減らし、反対に税収を増やさなくてはなりません。この方法として、財務省が長年一貫して主張してきた事が消費税の増税です。しかしながら、まず増え続ける歳出(ワニの上顎)の方に目を向けると、現在、政府の予算は少子高齢化によって社会保障費が毎年増大し続けている状態です。

つまり、少子高齢化を何とかしなければ、国の予算は毎年増え続けるだけなのです。しかし、日本人の平均賃金はバブルが弾けてから三十年あまり、僅かずつですが下がり続けています。

このような状況で消費税を増税すれば、日本人の実質賃金が更に大きく下がる事を意味します。問題は、このような実質賃金が下がり続けている状況で、国民は「結婚しよう」とか、「もう一人、子供を作ろう!」と果たして思うものでしょうか?

日本の実質賃金の推移

財務省が主張する消費税増税は、かえって少子高齢化を助長するだけでしかないのです。この本の第二章でもそれを詳しく計算してみましたが、少子高齢化や社会保障制度に何も手を加えず、小手先の増税や経費削減では、日本の財政は全く再建できるメドが立ちませんでした。

私は、現在、この少子高齢化について何も対策を行わず、ただ緊縮財政のみを訴えるこの事務次官をはじめとした財務省に対して、怒りすら覚えています。