【前回の記事を読む】作品集「黒い花Ⅱ」より三作品


若葉と枯れ木

木々の間に霧が流れて

匂うような若葉を溶かしていく

幻のような明るい一瞬

つややかな緑の先に赤い若葉

青黒い程の緑の先に黄色い若葉

君はまだこんな若葉を見ていない

低い木の上を霧が飛ぶ

やわらかく切れ切れに風の間に

そして深い谷にのまれていく──

大きな枯れた木が立っている

その周りだけ風がない

見上げる私にも時は少ない

君よ、若葉からこの枯れ木まで

流れた年月を計るのを

想像できるだろうか、若い君よ──