最近は手話通訳者の高齢化が進んでいて、他の仕事なら引退していてもおかしくない年齢の手話通訳者が、懸命に手話通訳制度を支えている。現状のまま、次の世代にバトンを渡してはいけないと考えているからであろう。

現状のままが続けば、手話通訳者や手話通訳者を目指そうとする人が減って、手話通訳制度が先細りし、聴覚障害者が利用したい時に利用できなくなる心配をしなければならない。

情報・コミュニケーション法や手話言語法が施行されれば、学校で手話の授業が実施されて、国民皆が手話で話せるようになり、手話通訳という仕事が不要となる日が来るかもしれないが、それがいつになるのかは、現時点では想像もつかない。

なら、その日が来るまでは、手話通訳という仕事を、是非とも存続させなければならない。

介護スタッフや保育士の劣悪な労働環境・労働条件については、マスコミの報道等で広く知られるようになり、徐々に改善が見られる様子だが、手話通訳者については、逆に高給取りと間違えられる場合もあり、実態がよく知られていないため、なかなか改善には至っていない。

そこで、本研究では、手話通訳者の実態を正しく伝え、今の手話通訳者を専門職として位置づけるための条件を探ることを、研究目的とする。

1-2 研究方法

本研究は、文献調査で進めていく。具体的には以下の通りである。

①手話通訳者の実態を明確化する。★全国手話通訳問題研究会等の資料を利用し、設置通訳者・公共職業安定所の手話通訳者(手話協力員・職業相談員)・登録手話通訳者について、明確化する。

②今の手話通訳者を専門職として位置づけるための条件を探る。

※本記事は、刊行の書籍『今の手話通訳者を専門職として位置づけるには』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。