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ウォルト・ディズニー社によるアニメ映画で現在でも多くのファンを持つ『美女と野獣』の物語の起源は、西暦125年頃、アルジェリアの北東、マドーレに生まれた小説家で雄弁家ルキウス・アプレイウスの西暦160年から180年の間に書かれた小説集『黄金のロバ(または変容)』の中のプシュケと言われています。

1740年フランスの女性小説家ガブリエル=スザンヌ・ド・ヴィルヌーヴの短編集の一編としてプシュケをもとに書かれた後、ルプランス・ド・ボーモンが個人出版していた子供向け雑誌の中で、彼女によりほぼ現在のストーリーの『美女と野獣』となります。

しかしながらこの物語を世界中に知らしめたのはジャン・コクトーがジャン・マレを野獣で、ジョゼット・デイをベルで主演させ、1946年にカンヌ映画祭で発表した映画『美女と野獣』であることは間違いないでしょう。

この映画は1946年10月29日にフランス全土で封切られましたが、コクトーの親友であったマリーはこの年、水彩画で『美女と野獣』を描いています。映画の成功に、コクトーへのオマージュを捧げたのでしょう。

 

美女と野獣La Belle et Bête『美女と野獣(1945年頃作 紙に鉛筆と水彩 25×12.5cm 個人蔵)』