タイミング

同級生が警察官になった。ビックリした。

警察官に追いかけられ逃げて回っていたのに。

その同級生が、友達の警察官を連れて家に遊びにきた。

警察官が苦手な私、友達の〇さんは、とてもおとなしく楽しい人だった。

何度か家に遊びにきた。そして家を出てすぐ電話がきた。

「くまのぬいぐるみにネックレスかけてあるから」

私はこの警察官から、ある言葉を待っていた、あまりに待たされてキレた。

警察官の首を片手で固定し、頭を叩いた。

追伸

子供を連れて帰省した。

近所の派出所に配属されていた〇さん。見回りついでに家にきた。相変わらず優しく、子供たちに「拳銃持ってる、見せて」と聞かれたり、帽子を取られそうになっても笑顔。私の両親を心配して立ち寄ってくれていた。

あの時、頭を叩かなければもっと素直な私だったら。

乙女だった

最近の運動会、体育祭、フォークダンスより「YOSAKOI」だったり、「創作ダンス」。リズムもテンポも今の若者にはお似合いだ。

就職して間もない頃。

職場の先輩に頼まれ社交ダンスに付き合った。

壁の花に徹するつもりでいたがチークタイムに手を差し伸べる中年男性。

先輩に目で助けを求めると「踊れ」と顎で指示された。

追伸

踊りだすと、密着してくる。

離れようとすると股間を押し付けてきた。

思わず「ざけんなー」と叫んで中年男性を押し倒し店を飛び出した。

その時、流れていた曲。「メリー・ジェーン」は今も好きです。 

電話

結婚前、午後になると職場に電話がくる。

「何時に帰ってくる」「今日はとっても辛いの」母の声。

職場の友人は大変だねと取り次ぎしてくれる。

そして、聞き耳を立てて楽しんでいる。

「終わったら、すぐ帰る」感情もない決まった返事をする。

急いで家に帰ると、楽しそうな笑い声が聞こえる。

母はご近所さんとお茶を飲んでいた。

怒りで体が震えた。

追伸

母は、ひとりで家に居ることができなくなっていた。

嫁いでからは「死にたい、殺して」と電話がくる。

母のようにはなりたくないと思っていたが、今は少し分かるような気がする。

※本記事は、2022年11月刊行の書籍『迷子』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。