山包むシラネアオイに夢託し

園主が山の自然を守りながら、心を込めて作り上げた“シラネアオイ園”。園主の夢が実現したのですね。

アップダウンのある細い山道には一万株のシラネアオイが咲き、珍しい白花も存在ありと言わんげに咲いていました。

牧野富太郎との命名権争いで負けた伊藤篤太郎が名付けたトガクシソウ。イカリソウ、ヤマシャクヤク、ヒトリシズカ等も咲き、シラネアオイを盛り上げていました。

福島県南会津町 “シラネアオイ園” 2015.5.

待ち焦がれ春の訪れ桂の木

お目当てはいろいろな品種の咲き誇る牡丹園の牡丹でした。ところが入口から奥に進むと柳沼源太郎の像があり、その脇の立派な桂の木に目が奪われました。かわいいハート形の葉のついた桂の木の枝がしだれていたのです。

しだれと言えば、梅、桜、柳をイメージしますが、まさか桂にしだれている品種があるとは……。優雅で美しい樹姿のこの木の下で春の息吹を感じました。

福島県須賀川市 “須賀川牡丹園” 1995.5.

残り雪なごり惜しげな水芭蕉

幼い頃、『夏の思い出』で歌っていた遥かな尾瀬が現実の尾瀬となりました。鳩待峠から入り、尾瀬ヶ原、尾瀬沼をへて沼山峠に抜ける夜行日帰りのハイキング。木道では雪解け水で滑り、尻もちをつき、雪の道でもつるり。でも見渡す限りの湿原の花達にいやされます。

何といっても主役は水芭蕉ですが、リュウキンカ、ミツガシワ、ザゼン草などの花が彩りを添えます。

完歩して檜会岐の温泉で温まりました。早春、初夏、秋、いつでも尾瀬は永遠の憧れの地です。

群馬県、新潟県、福島県 尾瀬 1995.5.19

※本記事は、2022年10月刊行の書籍『誘われて』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。