【第2章】相続税の節税対策の王道、不動産投資

不動産を第三者へ賃貸するとさらに節税に

先ほど、死亡した人と同居していた家族が、死亡した人の家を相続した場合、その家の土地の評価額が80%減額される「小規模宅地等の特例」について説明いたしました。この制度の名前には小規模宅地等と「等」という文字が含まれています。これはこの特例が、本人が居住している家以外の土地にも適用されることを示しています。

その一つが貸家建付地です。法律用語なので、やたらと堅苦しいですが、要はアパートやマンションなど、人に貸している住居が建っている土地のことです。この貸家建付地は、面積が200㎡までであれば相続時に評価額が50%減額されます。

賃貸物件が建っている土地は、第三者の借家人が利用するため、貸主の都合で処分したり、利用することができません。その分、地主が自由に使える土地(自用地といいます)に比べて低い評価になるのです。また、賃貸物件の場合、土地だけでなく、建物の評価も自宅より30%評価が下がります。

このように賃貸物件への投資は、相続税の節税対策としての妙味があることも確かです。そのため、多くのビジネス誌などでアパート経営や賃貸マンション投資が紹介されますが、賃貸物件を持つことは新たなビジネスを始めることに他なりません。ビジネスをはじめ、成功させるには、きちんとした事業計画が必要になるのは、一般のビジネスとまったく同じです。

多くの資産をお持ちの方や、未利用の土地を所有されている方のもとには、多くの不動産業者が相続税対策を謳い、賃貸物件の売り込みにやってきます。しかし、こうした不動産業者の誘いの中には大きな落とし穴もあるので、安易に飛びつくことは危険です。必ず事前に、賃貸事業に詳しい専門家にご相談の上、検討されることをお勧めします。

土地は更地で持っていると損、売ってしまうとさらに損

既に説明した通り、私は相続について話し合う家族会議に呼ばれ、相談に乗ることがあります。不動産、特に自宅などに使っていない更地の土地をお持ちのご家族の場合、ご両親が亡くなった後、所有している不動産を売って、現金をみんなで分けるという案をまず真っ先に思いつかれるようですが、私に言わせると、これはあまり賢い方法とは言えません。

土地を売却してしまうと、譲渡所得に対して課税されてしまいます。そもそも、更地のまま持って相続することになると、その土地は路線価のまま評価されてしまうので、なんら節税対策ができていない状態です。にもかかわらず、土地を売って現金化して分けるという発想になりやすいのは、相続に関して詳しい方が少ないからに他なりません。

先ほども説明したように、土地は更地で持っているより、上物があった方が節税になります。これは、ちょっとでも相続税について勉強したことがある人なら、誰でも知っているいわば常識ですが、いろいろな人の相談を受けて分かったのですが、意外と知らない方が多いようです。

※本記事は、2018年7月刊行の書籍『「金融大工」が知っている 一番わかりやすい相続対策』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。