【前回の記事を読む】異国の女性との交際…それってホントに『まやかしの恋』?

五十歳男性の厳しい現実

十三 『青春』をともにした友人とは?

タケには旅行前の三人での飲み会で、私の置かれたその当時の実情を話した。現在の仕事、元妻の性格、離婚に至った経緯、もちろん、私がこだわる『青春』の話もした。しかし、私が『半ED』状態であることは、恥ずかしくて言えなかった。

この歳になって独り身になったら、『青春』か『買春』かは別として、思い切って海外に行って女性と楽しく過ごすのがいいですよ、と彼は根気よく誘ってくれた。最初にどこの国で遊びましょうか、と聞かれた。ドイツ? イタリア? メキシコ? 香港? マカオ? タイ? フィリピン? とりあえず、手始めにフィリピンがお勧めですよ、だって。

この人、本当に大丈夫だろうか? 自分の経歴とあまりに違うし……。ひょっとして、私をフィリピンまで大型トラックで運んでくれるのだろうか?

例えば、当時メキシコのティファナでどんな風に遊んでいたかを具体的に聞かせてもらったが、俄には信じ難い。おまけに、海外に行ったら日本ではなかなかできない3Pを是非やってほしい、などと言うのである。

純粋に真っ直ぐに生きてきた(?)この私からすると、思い切り引いてしまって、とても連れて行ってもらう気になれない。近場で、フィリピンやマカオなどお勧めの場所が他にあったのだが、最初は最も健全な(?)タイのパタヤが無難だろうということになった。

実は、彼は七年間パタヤに住んでいたことがあり、タイ語も話せる。これまでフーゾクの経験もほとんどなく、婚姻期間中浮気もせず、よって約十七年もの間セックスレスだった私である。若くて綺麗でエキゾチックな女性を前にしたら……と思うと、やはり尻ごみするのであった。

何と言っても最大の不安は、おねえちゃんの目の前で『勃たない』かもしれないことであった。女性には理解不能だと思うが、男性器が役に立たなかった時の恥ずかしさは筆舌に尽くしがたい。穴があったら入りたいくらい、いやそうではない。むしろ何とかして……。

その時の『言い訳』は通用するだろうか? うまくごまかす方法はあるのか? いやいや、やるなら今しかないのだ。六十の声を聞いたら、もうさすがにその勇気も湧いてこないだろう。『オトコ』としての自信を取り戻すのであれば、この機会を逃してはなるまい。そして、若い頃にできなかった青春をやり直し、夕陽に向かって走ることを決心した。