学生講義

医学部は5年生になると、臨床講座を回って、患者を担当し実際の診療について学ぶ。昔はポリクリと呼ばれていた教育である。最近では、BSL(Bed Side Learning;ベッドサイド学習)と呼ばれている。

血液免疫内科にも、6人ずつの学生が2週間単位で回ってくる。二人一組で一人の患者を2週間担当し、その間に、患者の病気については勿論のこと、患者自身の不安や苦痛を理解することを求められる。

血液免疫内科は、白血病や悪性リンパ腫などの血液の悪性疾患と関節リウマチや膠原病などの免疫難病の患者を担当している。学生には、難しい内科の領域と恐れられている。毎週医局で行われる回診は、午前中はカルテ回診と呼ばれ、主治医が電子カルテをプロジェクターで投射しながら、一人一人の患者について1週間の病状と治療結果を説明する。医局員全員が、一人の患者の病状を把握し、問題点を討論し、次の治療法を決める。

午後には、実際に病棟で一人一人の患者の回診を行う。学生は、この回診を通じて教科書に書かれてあった病気を実際に学ぶことになる。梅澤にとっても、この回診で患者の状態や問題点が把握できて、午後の病棟回診のときには、一人一人の患者を深く診ることができる。

梅澤が学生の時には、勿論、電子カルテなど無かった。紙カルテを印刷したり、レントゲンフィルムをシャーカステンに掛けて説明したものである。

学ぶ環境という意味では、今の学生は恵まれている。

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