ライフストーリーについて

今年でナイスデイは創立20周年になるので、記念事業を行うことになり、ライフストーリーが載った人にライフストーリー効果のアンケート調査をスタッフの面談により、とってもらうことになりました。その結果が予想外に良かったので驚きました。この本を書くきっかけになったのでした。

本書の後半では、「ナイスデイ通信」に掲載された実際のライフストーリーをご紹介します。自己の人生録を残すことによって人生を意味づけるライフストーリーは回想法とも呼ばれ、ライフストーリーについての本はそこそこ出版されていますから、ここではナイスデイでの実存変貌をきたすことに必要なことだけを要約します。

多くの日本人はこの世に生を受けた瞬間から、死ぬまでの間は否応なく、前に向かって見えないムチでたたかれるように、がんばれがんばれと叱しっ咤た激励(げきれい)されています。幼稚園︱学校︱仕事と競争に巻き込まれながら、年齢を重ね、要介護になり、死亡という流れになり、要介護状態になるまでは常に競争にさらされ、負けるな頑張れと言われ続けます。

要介護になって、やっと競争から逃れられますが、今までのような生き方はなかなか変えられないので、もう戦えないと絶望するばかりです。寿命が延びているので、要介護状態から死亡するまで、10年ほど(人生100年なら20年)の長期にわたって生き続けなければならない、現実があります。

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※本記事は、2022年5月刊行の書籍『生の希望 死の輝き』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。