気がつくと夜も更けて24時を回っていたので二人はベッドに入った。ボクはベッドに入ってからも少し興奮していた。今日一日で学んだ内容の濃さはどうであろう。いままで変人ポーの話などそれこそ自分にとっては“当たり前”のもので、右から左に念仏を聞き流すかのようにしてきたので、これほどの理解はかつてなかった。

されど念仏を聞き流すのも無駄ではなかったようで、このときすでに自分の中に変人ポーが使うボキャブラリーはたしかにあった。

変人ポーが、物心付く前よりボクを合宿に連れ回してくれたおかげでこの日、久しぶりの話の内容がすんなり入ってきたのであった。そして気がつけばメモアプリに書き留めたメモも溜まってきていた。

ハードとソフトで考える

次の日の朝、二人は朝食を食べてうんちをして、そのあと変人ポーはテラスでコーヒーを飲んでいた。これも変人ポーの流れを受けてなのか、我が家では朝食をがっつり食べる。変人ポーもこうしたときは一家の大黒柱と言うより、現役のわんぱく小僧のようだ。

ボクは昨晩の続きを聞きたかった。まだ疑問に思う点があったのだ。

「昨日の話では、変えてはならない部分と、変えていかなければならない部分が、同時にあるんだったよね。それはわかるんだけど、だとしたら父さんの言う通り、それを見分けることが大事になってくると思うんだ。その見定めるコツみたいなものは、ないのかな?」

この問いに対する変人ポーの答えは極めて明確だった。インターネットを切り口に台頭してきたこのテクノロジーの進化、現代ならではの便利さと、同時に人間らしさを失わないように私たちはどうやって向き合っていけば良いのだろうか、変人ポーの答えはこうだ。

※本記事は、2021年3月刊行の書籍『変人ポーの人間力』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。