第四章 第二王子の【夢のお城】――【城下町】
第二王子が治める【夢のお城】の【城下町】の1つ、【ひらカタ町】では、【仏神師】が【特殊技能者】を務めているが、何が作られているのであろうか? それは、【仏神像(ぶっしんぞう)】である。
ここは現実世界ではなく、夢の世界なので、現実世界の常識、ルールとは異なる場合が多い。そのため、【仏像】や【神像】のようにきっちり棲み分けがされておらず、【よりか】のイメージから【仏】と【神】の違いは曖昧なものとなっていた。
そのため、ここでは【仏像】、【神像】と区別されている訳ではなく、【仏神像】と呼ばれている。 そのため、その元となっている【神】や【仏】の概念も、現実とは異なるイメージのものが採用されている。ただし、異なるイメージではあるものの、それなりの法則を持った【仏神】が作られている。
ここでは、主に【主神】などに当たる、【主要仏神(しゅようぶっしん)】と【属仏神(ぞくぶっしん)】に区別されている。【仏神】の名前は1文字で表現されており、【主要仏神】は――
【あ仏神】、【い仏神】、【う仏神】、【え仏神】、【お仏神】の母音で表される【5仏神】と、【ん仏神】の合わせて【6仏神】が【主要仏神】と呼ばれている。
また、【ひらがな】で表現されるのは【女仏神(にょぶっしん)】であり、全て女性の【仏神】である。【カタカナ】で表現されるのが【男仏神(だんぶっしん)】であり、全て男性の【仏神】であるとされている。この【ひらがな】と【カタカナ】をあわせて、【ひらカタ仏神(ぶっしん)】と呼称し、【ひらカタ町】の名前の由来となっている。
【よりか】が女性であるため、【男仏神】は裏方に回り、【女仏神】が表側となっている。【属仏神】は――【か仏神】、【き仏神】、【く仏神】、【け仏神】、【こ仏神】、【さ仏神】~……というように子音の1文字が名称になっている。
基本的にこれらの【仏神】の力は、【頭文字】がその【仏神】の名前と同じならば力を使えるという事になっていた。
例えば、【あ仏神】であれば――
【赤(あか)】、【案(あん)】、【小豆(あずき)】、【明日(あした)】、【杏(あんず)】、【青(あお)】、【アルバム】、【アンブレラ】、【アルト】、【アンティーク】、【アコーディオン】、【愛(あい)】、【鮎(あゆ)】、【空き缶(あきかん)】、【阿呆(あほう)】、【甘い(あまい)】、【穴(あな)】、【悪魔(あくま)】、【アルファベット】、【甘酢(あまず)】、【蟻(あり)】、【アマデウス】、【雨(あめ)】~……
などに関する力を使えるという事になる。これらは説明するまでもなく、【頭文字】が全て【あ】である。