現代西洋医学の功罪(東洋医学との併用「統合医学」の必要性)

現代西洋医学は、戦争とともに発展してきた側面をもちます。傷ついた兵士の再生の為に外科学が発展し、伝染病等の病から兵士を救う為に、疫学や内科学や予防医学が発展しました。

西洋医学の発展によって、多くの病人が助かりました。しかし同時にこれが西洋医学の限界にもつながった、と私は考えます。人間をメンタルソフト面から見るよりも、ハード面から、「モノ」として扱うのが当たり前になってしまいました。

検査や健診の数値結果の偏重と重視により、患者本人の主訴が軽んじられる事も多くなっています。「木を見て森を見ず」とは、西洋医学的手法と東洋医学的手法の違いを説明するのに好都合な例えです。

西洋医学では、病気の原因を細胞レベル、DNAレベルまで、徹底究明してから、処置を判断しようとします。人体を構成する60兆個の内のどの細胞が正常でないのかを探るのは、森の中から一本の腐りかけた木を見つけ出すようなものです。それはそれで、よいのですが、問題なのはここからなのです。

森全体の環境整備をして、日当たりや風通しや水はけをよくしてあげれば、森自体の自浄作用で森全体が元通りに再生する事もあります。害になりそうな木は、他の健康な木の生育に悪影響を与えない範囲や方法で除去すればよいのです。

※本記事は、2021年12月刊行の書籍『鍼灸 治効原論』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。