【前回の記事を読む】詩集「村においでなさい」より三編

第一章 青蛙

静けさのかたまり

ブドウの枝の剪定(せんてい)作業

真冬の畑に出ている人なんていやしない

シーン シーン

まるで静けさが固まって

そこら中に転がっているようで

シーンのかたまりが聞こえそうで

雪がちらつき 風が吹く今日あたりは

鳥も休んでいるようで

藪の中で何やら雀がおしゃべりしていて

いつものカラスやトンビも飛ばなくて

剪定バサミのパチンパチンと

枝を切る音だけがこだましている

シーン シーン

静けさのかたまりの中で

一人汗をかいている