「ハア~~そんなものなんだ」と思ったら「スーッ」と気持ちが落ち着き不安や迷いが消えて妙な覚悟が持て、何だかスッキリすると急にお腹がすいた。

「じゃあご飯にしよう」T看護師が言った。

「うん」

「ほうれん草を茹でたけどシラスとおかか、どっちかける?」

A先輩と私は声を揃えて「シラス」と答えた。他にも焼き魚や煮物などが並べられており、和食の晩ご飯だ。T看護師には高校生の娘さんがいて、四人で一緒に食卓を囲んだ。ところが女子高生とは思えない大きなどんぶりのご飯茶碗で失礼とは思いながらも聞いた。

「どうして、こんなに大きいの?」

「この子さ、ご飯をたくさん食べるの。何回も盛るのが面倒だから大きいのにしてるのよ」

女子高生も一緒に大爆笑で、何とも明るく美味しい晩ご飯の味は今でも忘れられない。T看護師は決断力があり、物ごとの裏づけをして納得のいく説明をしてくれる。何より相手に寄り添ってくれる。できることなら私もこんなふうに人のことを支えられるようになりたいと、随分と後になって思った。

もう一人のA先輩も、これまた良い人で誰かがピンチになると必ず現れる「正義の味方のA先輩」と呼んでいる。

乳がんになるまでも数々のピンチがあったがいつも飛んで来てくれた。マントがついているような速さの自転車でビューンとやって来る。頼れる人がいるので悩むことがあっても話すだけでお悩みはスッキリ解決となる。心から救われた。どんな時でも笑い合える仲間っていいもんだ。

※本記事は、2022年11月刊行の書籍『おっぱいがウインクしてる』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。