【前回の記事を読む】SDGsが叫ばれる昨今…ソーラーパネルの設置は果たして理にかなっているのか?

(20)空き家の増加

最後に住宅に関する問題点を考えたい。2013年の総務省の調査によると、全国の空き家数は約820万戸で、空き家率は約14%、即ち全住宅の7戸に1戸が空き家という状況であった。そして現在の空き家は20%も有ると云われている。同じく総務省の報告によると、2033年頃には空き家数2150万戸になり、3戸に1戸が空き家になるとの予測がある。

これは大変重大な問題である。ヨーロッパの主要国での空き家率は数%で、アメリカでは10%前後との事である。アメリカの場合は治安等の理由から、ゴーストタウン化している地域が有るために、空き家率がそこそこ高いが、ヨーロッパではゴーストタウン化している地域は殆どないので、空き家も少ない模様である。

日本の空き家は突出して高く、この問題を放置している行政は如何なモノだろうか。一方住宅の建築は、平成20年頃までは毎年100万戸以上が建築されていた。

そして平成20年以降は、100万戸を若干下回るレベルでの供給が続いている。取り壊される家もあるので純粋な住宅数の増加分を見ると、毎年50万戸から80万戸程度増えていると思われる。この様に家が沢山余っている状況下で、高い供給量を続けている事は、ハッキリ言って無策である。

日本人は新しもの好きなので中古の住宅をあまり好まない事と、中古物件の品質が悪い事もあって、中古の住宅を好んで購入しない傾向にある。しかし、空き家が820万戸以上あるのに、住宅を100戸弱も毎年供給している事は、見直す必要がある。そもそもこの問題点に対して、今まで殆ど何も対処していない事自体、“答えの無い問題への対処能力の欠如”そのモノではないだろうか。