バレエレッスンを始める

2020年10月。今さらながらではあるが、どうしてもバレエレッスンがしたい。少しは跳んだりはねたりできるようになりたい。思いきって自転車を駆って、門前仲町東京シティ・バレエ団の顧問である石井清子先生のバレエ研究所へ行き、ブザーを押した。

「見学したいのですが」

「見学はないので、体験レッスンをしてください」

「私は歳だし、皆さんについていけるかどうかわからないので見学をしたいのですが」

結局、教室へ案内してくださった。生徒は6人、ママさんバレエかシニアの人たちだ。バーレッスンはとてもきちんとしていた。11時半になってバーレッスンが終わると、センターレッスンに移る。私は、すでにレッスンをするつもりになっていたので、できれば次回から参加することにした。帰宅して調べると、体験レッスンは500円だ。

今のところは水、金の2回レッスンがいい。自宅では、ほとんどダンスをしなくなっているが、週2回通えば体が慣れていくはずだ。レッスンを見学した帰りは、感激にあふれていた。いつまで続くかはともかく、レッスンができるのはとてもうれしい。もし、きちんとサボらず出席すれば、日曜日はヨガ、水、金はバレエとなる。

見学3度目でチケットを購入して入会し、レッスンを始めた。元はといえば、インスタグラム投稿を始めたことで少しずつ未来が切り開かれ、それがドンとの出会いになったのだ。各クラスは10人前後で、年齢も実力も様々で、月曜日のクラスが最も難しく、センターレッスンでは根をあげそうになったが、何とか転倒もせず動けた。

レッスンが終わってスタジオの外に出た途端、感激で胸がいっぱいになり、スタジオ近くの行きつけのコーヒー本舗に立ち寄り、心を静めた。週3日、午前のバレエクラスに出ることに決めてしまったら、ヨガはもう心から離れてしまった。一度ヨガクラスに出向き、先生にご挨拶して終わりにしよう。

最近、特に足首やつま先の筋肉が弱ってしまっているうえに、年齢的にバランス感覚もとても衰えているので、センターレッスンの時、ふらふらしてポーズを決めることができない。だが先生も先輩の方々も気を遣ってくださるので、なんとか劣等生としての立場を確保できた。

※本記事は、2022年4月刊行の書籍『ドンに魅せられて』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。