ご主人の家から十五分ぐらい歩くと、海辺の堤防に出る。

吾輩は、初めは五十センチメートルほどの高さのコンクリート堤防の向こう側には何があるのか分からなかったが、ある日前足を堤防にかけて体を伸ばし、堤防の向こう側を眺めたところ、朝日が青い海にキラキラと照り返し、輝いている光景が目に映り美しかった。

そして、何隻かの釣り船が漁をしていた。

「なるほど、人間はこうやって海の幸を手に入れるのか」と合点がいった。

そして、海辺から自宅にテクテクと帰る時は、前方の遥か遠くに山々が見える。

すなわち、この近辺は新興住宅地ではあるが、まだまだ田畑が残っているうえに、海も近く、遠くの山々にも囲まれている風光明媚な地域であることが分かった。

犬にとっては、家の周りが豊かな自然環境に恵まれていることは幸せである。

四季の移ろいと草花の変化を肌で感じることができる。ストレス発散になる。

※本記事は、2022年7月刊行の書籍『吾輩は犬である』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。