【前回の記事を読む】【小説】よりかの居ない現実世界…眠ったままのよりかを心配する友人たち

第三章【よりか】の居ない世界

「そうそう。そこまで話してそれはないじゃんって思ったんだよね」

「うん。逆に気になるって思ったんだけど、そこから先は他の患者さんの迷惑になるからって言われちゃって」

「そうなの。だから私達もそれ以上、聞けなくて。【よりか】のお父さん、お医者さんだから、話聞こうと思ったんだけど、忙しくて会ってもらえなかったし。私達もどう言う事かわかんないんですよ。奇妙な事もあるし」

「奇妙な事? 【谷村】、何だ、それは?」

「え? あぁ、それはですね。何か、私達が授業で聞いたことを話して聞かせると、【よりか】、寝言で答えるんですよ。それも、授業に出てないはずの【よりか】が知るはずのない事を知っているんです。例えば【数学】の授業で【篠田(しのだ)君】が変なくしゃみしたとか、そんな話まで。だけど、私達の知らない事は【よりか】も知らなくて。でも、私達が授業で聞いたら、【よりか】も覚えているんです。変でしょ? 奇妙ですよね? 【よりか】、何かに取り憑かれているんじゃないかって怖くなって【病院の先生】に尋ねたんですけど、そう言うのじゃないから安心しなさいって言われて」

「そうか。それは妙だな。じゃあ、【松永】は何か知らないのか?」

「私も知りませんよ。私も【さゆり】と一緒に居たんですよ。意見は【さゆり】と同じです」

「そうか。それは済まなかったな。ありがとう。参考になった。先生も後で見舞いに行くわ。お前達、もういいぞ。そうかぁ~不思議な事もあるもんだ」

と言う話になった。

【いおり】と【さゆり】が、「「失礼します」」と言って職員室を出ると、男子生徒が1人、待っていた。

【いおり】が、「なぁに、【剣咲(けんざき)君】? 私達に何かご用?」と聞いた。

【剣咲】は、「いや、何って言うか。その、何だお前等、あいつの見舞いに行ったんだろ?」と言ってきた。

【さゆり】が、「あいつって【よりか】の事? ひょっとして、あんた、【よりか】の事が……」と言った。

どうやら、【剣咲】が【よりか】の事が気になっていると言う事に気付いたようだ。

【剣咲】は、「な……バ、バカ言ってんじゃねぇよ。俺がそんな……訳……ねぇだろう……がよぉ……俺は別に……」と言って誤魔化した。

【いおり】と【さゆり】は「「はいはい。じゃあ、別にいいね。さようなら」」とハモった。

【剣咲】は、「あ、おい……お前等……」とつぶやいた。