Chapter・2 溶けきれない氷

諦めて布団から出る。ひとまず黒猫の毛をゴミ箱に捨てて手を洗ってから、コップ一杯の水を飲む。時刻は午前六時五十八分。いつもより早く目が覚めてしまった。

今日は日曜日。何をどうするでもなく、いつもの日常を進める。インスタントココアを作って、トーストを焼いた。お気に入りのマーガリンを塗って一口かじる。いつもの味。

「いつもと同じだけど、おいしい……」

特にトーストが好きなわけではない。ただなんとなく、マーガリンやバターの風味が好きなのだ。つい何枚も食べたくなるが、太る可能性もあるから、注意しなければ。“痩せ”にとらわれているわけではない。健康的な体型をキープしておきたいのだ。

トーストを食べ終えて、ココアを飲み干す。ほぅっと溜め息をついて、朝の至福のひとときを過ごす。今日は、のんびりと過ごそう。

読書をしたり、ジグソーパズルをしたり、いつもの日常を再生して、一日を終える。そして、お風呂と晩ごはんを軽く済ませて、また読書に勤しむ。

読書は、世界を旅するツールだ。一文字一文字に、その場所の空気が織り込まれている。特に好みの作家はいないが、いろいろな作家がさまざまな世界へ旅立たせてくれる。

今日は、とあるツリーハウスで過ごす女性の話だ。目を閉じれば瞼の裏にその様子が、そして、彼女の言葉が頭に流れてくる。素敵なストーリーだった。

「今日の物語も良かった」

ふぅっと溜め息をつきながら、瞼の裏でストーリーを再生する。

本を満喫し、軽くストレッチを済ませたら、布団に潜る。今日も布団はほどよく暖かい。あくびをひとつして、私は一日を終えたのだった。