第1章

―1年後― 四月

「オイ! メシは?」

俺のベッドの足元に、前足を乗せ、朝からいきり立つ変な毛色のネコがいる……。俺は寝起きの頭を整理していた。

「……え?」

ボケた脳みそでなんとか答える。

「メシ」

変な毛色のネコは短く、そして鋭くのたまう。

「……いや、まだ昼前だしさ……」

……またネコ扉から俺の部屋に入り込んだらしい。

「どこの世界に昼まで朝メシを待たせる召使いがいるのだ! ボケカス」

「………」

俺は今ネコ一匹と一人暮らしの夜型生活で、ネコとは別の部屋で眠り、朝は十時位にようやくベッドから出る暮らしをしている。飼い猫パセリはそんな俺の影響を受け、深夜二時過ぎまで約二時間毎に軽い夜食の催促をするのが日課になっていた。だから俺としては朝もゆっくりと起きて合わせてほしいのだが……。

仕方なく、俺はパセリの望むレシピ通りに天然の魚(あくまで希望)、穀類、細切り昆布かカットわかめ、みじん切りの緑黄色野菜をポトフのように柔らかく煮込んで細かくしたものを作り始める。

「原材料は可能な限り国産にして」と贅沢を言うのだが、それでも市販品よりはかなり安く高品質なものができる。普段は一週間分の作り置きを冷凍してドライフードと交互に出して休みの日の前日に使い切るのだが、パセリの食欲の微妙なズレで昨晩で終わっていたので朝からこんな面倒な調理をする羽目になった。昨日の夜、忘れずに冷蔵庫で魚の粗を解凍しておいて良かった。