カメムシとテントウムシ

たいていの昆虫は木の皮の中や木のほらや

納屋の中のむしろやわらの中で冬を越す

それなのにカメムシとテントウムシが

室内に侵入してくる

特にカメムシときたら

たたんだ衣服の中や

ベッドのある私の部屋に来る

暖房をつける部屋では冬眠せず天井を這っている

死に真似が上手で爪で弾き飛ばすとひっくり返り

しばらく仰向けで微動だにしない

見計らってから動くずるい術だ

でも臭いので侵入を許さない

寒空であってもその横着を責め

「外でねぐらを探し!」と窓から投げ捨てる

テントウムシは何も害はないので

寝ている枕もとを這っていても

最大限 顔などに寄り付かなければ

許している

小さな足で必死で歩く姿を眺める

かわいくて 愉快だ

なんと勝手な

カメムシは嫌われると知って

カメムシになったのではない

敵から逃れるスカンクのようなものだ

「ごめんな カメムシ」

真冬の戸外で凍死したかも?

多少の罪悪を感じつつも

母の作った綿布団にくるまって

温かな眠りにつく

※本記事は、2022年9月刊行の書籍『村においでなさい』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。