一人で本気に住宅探しをしたこともなく、心が決まらないまま、ユースホステル等を転々と泊まり歩きました。その間にも彼は酔っぱらって、何回も職場に電話をかけてきました。依存症の症状がどんどん深まっていて、自分が何をしているのかもわからないのでしょう。

職場は、F所属長の計らいで、私の部下にできるだけ取りつぎしないように、配慮してくださっていました。それから数日後、「もう絶対に飲まないから帰ってくれ、俺がダメになってしまうから」(自分のことだけです。私や子供たちのことは言わないんです)「もう、絶対飲まない、子供たちとも約束した。だから戻ってくれ」と言います。

今まで何度「もう飲まない」と約束したでしょうか。今回は「お前が自助グループへ参加することも認める」と言いますが、まだ彼自身のアルコール依存症は認めません。私は「家に戻ることはもう少し考えさせてほしい」と答えました。すると、彼は「ミーティングを見てやる」と言って、翌日ミーティングに出席しました。

自助グループに参加しているメンバーの雰囲気は、自分が思い描いていた「アルコール依存症者」のイメージと違っていたのでしょう。彼は「次回も参加する」と言うのです。その彼を見て希望を持ちました。

「もう一度だけ、母さん試してみる。努力してみるから」と長男に話すと、「じゃもう一回だけやってみな。それでダメだったら、その時は家を出ろよ」と言うのでした。私は、家に戻ったのです。もう一回やり直そうと思い、二人で回復のためのミーティングに通い始めたのです。