タケル──目に見えない3つの体

「そうなんだよ。因ちなみに“アストラル飛行”って言葉を聞いたことはあるかな?」

「ううん、聞いたことない」

「“アストラル飛行”というのはアストラル界を移動する時、まるで空を飛んでいるようなフワフワとした感覚があるからなんだよ。眠りから覚めた時にそういう感覚が残っている人がいるんだな」

「ふーん、私も過去の世界を覗いてみたいな」

緊張がほぐれてきたのか、清美にやっと笑みが戻った。

「どこへ行きたい? 誰かに会ってみたい?」

「うん、平安時代の紫式部に会ってみたい。それから、マリー・アントワネットも見てみたい」

「興味はあるわけだ。さて、目には見えないけれど、君も僕もアストラル体を持っているんだ。感情を持つ存在物は皆アストラル体を持っているんだよ。だから、動物も。そして、植物までも単純なアストラル体は持っているんだ」

「そうよね。植物にも感情があるわよね。いつも優しく声かけをしたり、モーツァルトの音楽を聴かせて上げたりすると成長が早いって言う人が結構いるものね」

清美は、なかなか物知りで大人びた一面を見せた。

「そして、もう一つ上位の体として、5次元の体であるメンタル体があるんだ。メンタル体は思考を司るから“精神体”とも呼ばれているんだよ。5次元の世界については、僕も行ったことがないから、良くは知らないのだよ。ここは、知識として、君達は5次元の体も持っているんだなということだけ覚えておいて欲しい」

「私達が寝ている時はどうなるの?」

「睡眠中は、意識が肉体(3次元)からエーテル体(3次元)、更にアストラル体(4次元)に移っていくんだよ」「そうなんだ。それじゃ、良く耳にする“幽体離脱”って、どういう状態を指すの?」

清美は知識欲が掻き立てられるようだ。

「言葉の意味的には、意識や霊魂が肉体から離れているとされる状態を言うのだが、経験者の話から推測すると、意識がエーテル体に移って、エーテル体で行動する時のことのようだね」

「そうすると、睡眠中は皆、幽体離脱しているようなものね」

「おおっと、そういう人もいるけど、大抵は、アストラル体に意識が移るから、幽体離脱とはまた違うな」

「そうなんだ。そこのところ、ちょっと分からない」

「うん、幽体離脱に付いて今知らなくてもいいよ」

「そう、それじゃ、死んだら、幽霊になるくらいだから、先ず幽複体、つまり、エーテル体に意識が移るんだよね」

清美はタケルに教えてもらった知識を自分に分かるように言葉にした。