【前回の記事を読む】元ボクサー75歳男性。非社会性人格障害、衝動型人格障害による多殺人者症例

(F60.2)非社会性人格障害、(F60.3a)衝動型人格障害による多殺人者症例

A case report of a man who committed several murders and diagnosed asF60.2dissocial personality disorder andF60.3aemotionally unstable personality disorder

石川文之進 鈴木三夫 茅野真男 村瀬活郎 石川叔郎 石川経子 原田元 深見忠典

検査概要所見・検査

1.身体所見ほか

筋肉質、闘士型、険しい顔貌。アルコール症(non-flushingtype)、退薬症候群なし。弓部大動脈瘤、梅毒(-)。

2.MRI

●胸部MRI(75歳。MF医師)弓部大動脈瘤、最大短径48mm。

●頭部MRI(76歳1カ月。TO医師)図表1参照。診断は、陳旧性脳梗塞、慢性虚血性変化。脳萎縮。副鼻腔炎、貯留嚢胞。

●頭部MRI(76歳2カ月。TO医師)頭蓋内主幹動脈狭窄性病変なし。前交通動脈に4mm大の瘤あり、大きさは小動脈瘤だが、部位的には破裂リスクが高い。ブレブ(動脈瘤の表面の小さな膨らみ)はない。診断は、前交通動脈動脈瘤。

[図表1]頭部MRI(76歳1カ月)
小脳脳幹部萎縮、局在性病変などなし。内耳道拡大、聴神経著変なし。テント上で脳室拡大、脳溝開大あり、脳萎縮。脳実質内で基底核、白質内にT2 延長領域あり、ラクナ梗塞および慢性虚血性変化である。皮質信号異常、局在性病変などなし。蝶形骨洞に貯留嚢胞、左上顎洞、篩骨洞に副鼻腔炎。

3.CT

●頭部CT(76歳5カ月。TO医師)図表2参照。診断は、陳旧性脳梗塞、慢性虚血性変化。脳萎縮

[図表2] 頭部CT(76歳5カ月)
テント下:小脳、脳幹部萎縮、局在性病変等なし。
テント上: 脳室拡大、脳溝開大あり、脳萎縮(前頭葉優位萎縮)。脳実質 内では、両側基底核および白質内に陳旧性ラクナ梗塞および慢性虚血性変化による低吸収域を認める。前回同様で萎縮の進行、新規病変はない(TO 医師)。

4.脳波

●76歳2カ月(B医師)

光刺激:3Hzは(±)9Hz10μV、18Hz10μV。6Hzは(-)傾眠。7Hzは(-)傾眠。10Hzは(±)傾眠。14Hzは(±)。18Hzは(-)傾眠。

slowwave(δ):(-)

slowwave(θ):5Hz20μV貧。6Hz30μV、7Hz30μV少量。

slowwtrain(θ):7Hz20μV、Fp1>Fp2。

fastwave:12Hz10~20μV、14Hz10μV中等量。

αwave:8Hz10~20μV、9Hz10μV少量~中等量。

判定:境界例。