「うーん、やっぱりわからないよ」

「つまり思考が関わってくるということだ。我々は思考という、未だ解明されていないとんでもない能力を持っている。戦いという行動の前にまず絶対的に存在するのがこの思考であり、現代とはまったく異なる時代背景の中で生き抜く精神力というのがあの時代でも大前提にあったのだ。

要するに、ただ自己啓発すれば良いって話じゃない。その前に思考の力と精神力を抑えておくことだ」

「わかるような気もするけど、いつものようにわかりやすい例を出してよ」

変人ポーは難しい話となるとよくわかりやすい例に例えて、かみ砕いて話してくれたのを思い出した。このときもそれをお願いしてみたのである。

「そうだな。よし、つまりは、夏までに身体を鍛えてマッチョムキムキになる! とか、英語を勉強してグッジョブペラペラになる! とか、その分野の能力を高めようとしても、まずはその根本的要素である思考からしっかりと固めていく必要がある。その分野の能力をどうやって上げるのか、自分の性格やライフスタイルに見合ったプランを立てることは大事なことだ。

あるいは、なぜ自分はその能力を高めたいのか、全体のスケジュールは? 能力を上げられたらどのような自分に変われるか、その辺りを明確にイメージすることがコツだ。これらが、思考の部分だ。そして、ここに精神力というものが密接に関わってくるものなんだ。ダイエットは自分との戦い、とよく言われるのも、つまりは精神力のことを言っているんだ。

言い換えればこの“意志の力”が弱ければ、ダイエットも続かないだろう」

この思考についてはあとの章に譲ることとなるが、変人ポーはこの思考の力を絶対的に信じており、またこの思考力を含めた自分の能力を開拓していくのが自己啓発であり、これを徹底的に実行していくことだと言っていた。

精神論とは異なる、まったく現実的な話であり、この自己啓発への理解を深めれば、より自分は成長できる、あるいは自分の持つ可能性をより引き出せるのでは、と変人ポーの話を聞いてそう確信した。そんな話を合宿先のリゾートで語る親子二人。

その日は朝から出発していたからか、1日目は早めに寝入ってしまった。

※本記事は、2021年3月刊行の書籍『変人ポーの人間力』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。