Chapter・2 溶けきれない氷

「そういえば……」

またあの黒猫に会えるだろうか? もし今宵も夢にスケッチブックなどがあったら、また私は絵を描くのだろうか? 不思議な夢なだけあって、疑問は尽きない。だけれど、どこかで楽しみにしている自分がいるのは間違いなかった。

絵を描くことを楽しんでいた幼少の頃を思い出す。あの頃は楽しかった。コンクールの結果なんて、気にもせず、絵を描くことが純粋に楽しかった。中学一年生の時にコンクールで出会ったあの絵。あの絵を見て、才能の差に愕然とした。そう、私には才能がない。

溜め息をつく。なんでだか、あの黒猫には、きっとまた出会う予感がしている。夢に持ち込みができるなら、何かエサとなるようなものを持っていくのだが、なんとなく難しい気がした。

不思議なことと言えば、あの夢の中では、とても心地のよい風と、草木の香りがしていた。とても良い香りで、森林浴をしているような感覚でもあった。日差しは心地よく、暑くもなく寒くもなく、ほどよい暖かさと風の冷たさがあった。

あの場所は、実在する場所なのだろうか? それとも、私の空想の産物なのだろうか。夢だから空想のような気もするけれど、過去に写真か絵で見た風景なのかもしれない。

「考えても仕方ないから、もう寝ようかな……」

思考を止めて布団に潜り込んだ。今日も、夜が更けていく。