【前回の記事を読む】当時の極細英語環境の上に、治せないさぼり癖...英検1級合格は如何に

浜名湖での祈願

掛川から浜名湖の北岸までは東名道路を使えば1時間とかからない。舘山寺の鐘楼は湖面から約30mの高さのところに、浜名湖の湖面に突き出た形で作られていた。除夜の鐘もそこで打鐘するらしい。

鐘撞き場へ行ってみると小箱があり、100円を投入して鐘を撞き、響く音色が湖面を渡り、余韻が消えるまでに願い事を唱えるとその願いが成就する旨が書いてあった。早速鐘を撞き、ゴ~ンという音色が湖面に響いている間に、

「英検1級に合格しますように……」

と小声で唱えてみた。妻はニンマリした表情で黙っていた。

鵺代という地名

この漢字「鵺」を「ぬえ」と読める人は少ないのではないだろうか。浜名湖の舘山寺から西へ向かって車で少し走ったところでこの漢字に遭遇した。奥浜名湖の湖畔通りを湖西市(豊田佐吉の生誕地)方面へ向かってドライブしていたときである。

道路標識に鵺代とあった。「ぬえしろ」と仮名表記もしてあったので読むことができた。妻と一緒に「面白い地名だなあ」、「夜ガラスという意味かなあ」と笑いながら、その辺はまだ三ヶ日町(現浜松市北区)で掛川へは遠いので家路を急いだ。アパートに帰ってしばらくしてから辞書で調べてみた。

『平家物語』などに登場し、猿の顔、狸の胴体、虎の手足を持ち、尾は蛇。文献によっては胴体が虎で描かれることもあるらしい。また、『源平盛衰記』では背が虎で足が狸、尾は狐になっているとのこと。

この怪獣は「ヒョーヒョー」という、鳥のトラツグミの声に似た大変に気味の悪い声で鳴いた、とされる。その怪獣を退治したのは弓の達人源頼政だといわれる。怪獣の死体は諸説あるが、弓で射止められ落ちてきた場所から「鵺代」という地名が生まれたという。浜名湖の北端にある奥浜名湖はその形から猪鼻湖(いのはなこ)と呼ばれているが、その妖怪が落ちてきたのは猪鼻湖の辺りという伝説がある。