たかが塩、されど塩

私は3種類くらいの塩を使い分けている。塩ゆでの時に使う比較的安価な『海水塩・なぎさ』、振り掛ける時に使うさらさらのピンクの岩塩、そして、グリーンコープで購入しているゲランドの塩だ。

ゲランド塩田は、フランス西海岸、ブルターニュ地方にあり、その塩は、機械をほとんど使わない伝統的手法で作られている。古くからフランス料理のシェフ達から高い評価を受け続けているそうだ。淡い緑色をした塩は旨みが豊富で気に入っていた。

しかし、『ぎんなん』というお店で、ゲランドなんて霞んでしまうほどの、とてもまろやかな旨い塩に出会った。その塩を舐めながらお茶をすすりたくなるのだ。人によってはこの塩を舐めながらお酒をチビチビするらしい。私は出された塩を後生大事に紙に包んで持ち帰ったほど気に入った。

その塩とは『蒲かま江え の塩』、少しピンクがかっている。自然環境を大切に、木材を燃やす熱を利用している。100%海水でつくられ、添加物は一切なし。また、鉄釜を使った製法にこだわることにより、口の中で最後に甘味を強く感じさせる塩になっている。この塩でおむすびや浅漬けを作ったらさぞ美味しいだろうなぁ。魚の塩焼きに使ったり、天ぷらに添えたりするのも良い。

早速、楽天市場でお取り寄せしてみる。1㎏入りを2つ買ったら送料無料だった。しかし、塩としてはかなりお高い。しかし、絶品! 旨塩大好きの人はお試しあれ!

心太(ところてん)

母がいた実家では、心太を食べたことはなかった。母は偏食家だった。その上、自分の興味のないものは食卓に上らせなかった。だから、心太を黒蜜で食べるか、酢醤油で食べるかの先入観は無いはずなのだが、心太というものに初めて向き合った時、迷わず黒蜜を選ぶ。私の男兄弟も皆そうだ。

ここから推測すると、関西の食文化がどうしても心太には黒蜜が合うと主張するようだ。心太の親戚の寒天に蜜を掛けて食べるのが普通だからだろうと思う。寒天を使ったみつ豆というものもある。しかし、私は酢醤油で食べる心太も好きだ。すりごま、刻み海苔、刻みネギ、紅ショウガ、練り辛子を加えて食べると、たいそうなご馳走だと感じる。

私は心太が好きで、夏は毎日食する。夏の我が家の冷蔵庫には心太が10食分くらい常備されている。夏に心太とはよく考えたものだ。昔の人の智恵だろうが、実際、心太を食べた後はかなり涼しいと感じる。その涼しさが、かき氷やアイスクリームとは違って長続きするので、全く有り難い食べ物だと思う。しかも、ダイエット食品でもあるから、私は安心してせっせと食べるという次第だ。

昔は涼を取るために心太だけじゃなくて、キュウリも井戸の水で冷やして食したそうだ。キュウリには塩でも付けるのだろうか。

※本記事は、2022年6月刊行の書籍『金魚』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。