佑介は、スター選手として、国立競技場のピッチに立っている。相手チームには、何とメシシがいる。その横には、恩田選手までいる。試合は、もう終わっており、ユニフォームの交換が始まる。

佑介も自分のユニフォームを脱いで、憧れのメシシ選手と交換しようとしたところが、麻尾晋平が出てきて横取りされてしまい、取り返そうとしたらすごい剣幕で怒られてしまう。今度は恩田選手と交換しようとしたら、これは、会社に渡すものと言われて、会社の人が取り上げようとする。

佑介もそれを取ろうと手を伸ばした所で、ベッドからまた落ちてしまった。

「痛っ」、「そうだ、今日は、恩田選手のユニフォームを見に行くんだった」と勢いよく飛び起きた。

佑介が喜んで階段を下りてくると、真理が見ていた。

「夢にまで見たっていうけど、お兄ちゃんは、本当に夢に見るんだね」

「また、夢に見たこと知ってるのか、こいつ。何と不気味な」

その数日前、英介は吉川を呼び出し、こう切り出した。

「実は、うちの子供たちが、うちが後援しているサッカーチームの恩田選手たちのユニフォームが見たいと言っててね」

「展示されているところにご案内すればよろしいのですか」

「そうなんだけど、会社内では、うちの子供ということは伏せておいてもらいたいんだよ」

「どうしてですか。社長のお子さんが来られたって言えば、社員たちも喜ぶと思いますし、頑張ろうってモチベーションになると思うのですが」

「そうやって、みんなに余計な気を遣わせたくないんだ。それに、会社で自分の子供だけ特別扱いにしたら、みんなの会社を私物化してるみたいじゃないか。それも嫌だしな。それから、もう一つ、大事なことを頼みたいんだ」

「何でしょう」

「うちの子供たちにも、私が社長であることを言わないでほしい」

「えっ、何ですって!?」

吉川は、驚いて聞き返した。

「だから、うちの子供たちには、私がこの会社の社長であることを言わないでほしいんだ。つまり、正介も会長であることを言わないということになる」

「それはどうしてでしょうか」

「実は、うちの子供たちには、私がこの会社の社長だってことは言ってないんだよ」

「ど、どうしてですか」