「ここにいたか」

「……?」

リラックスルームの入り口に、課長の森村が、何か言いたそうな顔をして立っている。

「何か?」

「何かじゃないだろ。明日店舗に持っていく提案、確認してくれっていったのはおまえだろ」

「あ、すみません」

「今いいか? 内容に問題はないんだが、念のため確認したいことがある」

「分かりました。すぐ行きます」

「ああ、頼む」

椅子から立ち上がり、もう一度スマホを見る。

22時10分。

2日前の、最後の既読と同じ時間。忙しくて返信ができないことは、誰にでもあることだが、葵は約束をすっぽかす人間ではないし、遅れるときも、必ず連絡をしてくる。それが、なんの連絡もないまま2日が過ぎているというのは、愛瞳ではなくてもおかしいと思うだろう。

「……」

ここでじっとしていても、何も変わらないことは分かっている。いや、それどころか、葵に何かあったかもしれないからこそ、動かなければならない。自分にしか気づけないことが、きっとあるはず……

愛瞳はそう思い直すと、リラックスルームを出た。