「どうする?」

と誰かがそれぞれの顔を伺います。新松戸で途中下車して一杯やる? と言った方が分かりやすいんだけど……。「どうする?」と言われれば

「行きますか!」

となる。決して「飲みに行こうか?」とは言わない。「どうする?」なんです。あとは柏駅から徒歩三分の焼き鳥『鳥平』。

ここは今でも月に数回は通ってるお店(秋田や定休日の水曜日にちょっと一杯の一人飲み)で、かれこれ三十年以上は通っています。昔は肉屋だったそうで、その軒下にイスとテーブルを並べ透明のビニールシートで囲った小屋造り。やはり炭火で焼いた焼き鳥が旨い。お酒は昔から地元蔵元のコップ酒でしたが、私が居酒屋をやるようになってからはコップ酒(醸造アルコール添加のお酒)がちょっと苦手になり、ママにわがままを言って、私好みの純米酒をいつも冷やしてもらっています。

そして値段は据え置きで、いつもお酒二杯とお通し、焼き鳥三本セットとあと一品で二千円ポッキリ。そのあとの一品はママに

「何かちょこっと」

と目を合わせれば、

「ハイよ!ちょこっとね」

と焼き場からキッチンに入り、ちょこちょこっとやって一品が出てきます。居酒屋秋田やでもお客様から「何かちょこっと」と言われ、「ハイよ!」と言って、何か気の利いた一品をお出ししないとね! 今でも何故か掘っ立て小屋が落ち着くんだよなぁ。そして「いらっしゃい!」ではなく「おんなさ~い!」がうれしいよね。

この常磐友の会のメンバーとは退社してからもずっとお付き合いをさせていただき、年に一回、秋田やで忘年会をしていただいています。転職もせず、一つの会社で三十五年間勤めあげましたが、一番長かったのが東京(御成門、汐留)勤務で、サラリーマンの宿命である転勤、単身赴任も経験しました。その家族帯同の広島勤務での出来事が私の人生における大きな転機になったんだと思います。

四十歳過ぎてから出向責任者として広島へ赴任した翌年の秋に、家族で鳥取、島根へ旅行をしました。休日もいろいろと仕事が入り、久々というか広島へ来て初めての家族旅行でした。ゆっくりとしたい、美味しい郷土料理に温泉も楽しみたいと私が一番楽しみにしていたかもしれません。その初日、部屋での夕食、お酒も入りながら食事も終わったころに私の携帯電話が鳴りました。