【前回の記事を読む】「私の人生は後悔ばかり」それでも今、77歳間近「何という幸運だろう」

インスタグラム投稿が転機だった

2017年、73歳のとき、theseven3dancer としてダンス動画のインスタグラムを立ち上げてから3年半が経過するが、このインスタ投稿はささやかながら私の無形の財産だ。

書くことは生活の重要な一部で、書かなければ何事も区切りがつかない。友人もいず、話し相手もいないから、書いて心を整理してきた。書くことと、ダンスやヨガをすることは、ややバラバラに存在してきた。必然的に体力が衰えていく現在でも、週1回のヨガは私を鼓舞しやる気を新たにしてくれる。

これまでの日記には、飲食店経営における突然のコロナ時代の到来と、いまだに出口の見えない世界の中での私の日常を書いていたし、できるだけコロナ情勢とコロナ以後の世界についての本を読んではいたが、遅まきながらドンを発見した今では、書く欲求と芸術への欲求が重なったのだ。

今は“ドン漬け”の毎日だ。朝から夜眠りに落ちるまで、ずっとドンが心の中にいる。苦しいほど感情が高揚していて、涙ぐみそうにさえなる。最近、ロシアのバレエダンサーであり振付師であるバツラフ・ニジンスキーの『ニジンスキーの手記』(新書館、1998年)も借りた。

インスタに theseven3dancer の名で投稿してきた経験を経て、今は夜ベッドに入るとYouTubeでダンス動画を見るのが習慣になった。その中でドンが突然、私に会いにきてくれたのだ。

ドンの視線は「異次元を見ている」と言った人がいたが、はるかかなたを思う視線の不思議な美しさから始まって、背中の筋肉が薄物の布のようにはためく美しさに圧倒された。なぜこれほど美しいダンスを踊ることができるのか。この感激から、ドン探求は始まった。

一度に資料を集め、眺め、読みを毎日続けていると、情報の重さに溺れそうになる。減速して、ゆっくり、時系列も頭に入れながらにしよう。