【前回の記事を読む】小泉内閣時の政策「製造業の派遣解禁」が日本経済に与えた打撃

第一章 失われた三〇年

《一》平成三〇年間─何もしなかった日本

非正規労働者層の拡大

アベノミクスで有り余る資金が低金利で借り換えできて、従業員は景気に合わせて自由に伸縮自在にできることになりました(本来、従業員にそれに見合った賃金を出せない企業はそもそも存続する資格がないのです。企業を解体してそれができる産業、企業に人材を供給しなければ、経済は回りません)。

これでは新しいことに手を出してリスクを冒す必要はありません。

アベノミクスで金は存分に供給してくれる。人間は余ったら非正規を切ればいい。これで少なくとも現状は維持できるのだから、経営者としては、これほど楽なことはありません。余った金はいつ起きるかわからない将来のために積んでおこう。社内留保だけ積みあがる。これがアベノミクス時代の企業経営の実態です。

平成年間の前半は国がたっぷりと公共事業費を出してくれました。これで当社は助かりました。平成年間の後半はアベノミクスで金を存分に供給してもらい、非正規で不況を乗り切りました。社内留保もたっぷりとため込みました。このような安易な官僚と企業の癒着がバルブ崩壊後の企業運営から真剣さをなくしてしまったのです。これでは日本産業が衰退するはずです。

アベノミクスを九年〈第二期安倍内閣〉も維持したのです。企業はすっかり弱くなりました。

非正規労働者は、一九九九年に二五%、二〇〇三年に三〇%を超え二〇一二年には過去最高の三五・二%を記録し三人に一人超を占めるようになりました。また、若年層の非正規雇用率については、学生を除いた一五~二四歳で三一・二%、二五~三四歳で二六・五%であり、全体と比較すると低いものの上昇傾向にあります(これでは少子高齢化が進むはずです)。

今の政治は見て見ぬふりをしていますが、これも次世代に対するツケ、大変大きなツケです。歴史に逆行する世襲の身分制度というツケですから、これほど大きなツケはありません(人類の歴史は身分制度の撤廃の歴史でもありました。それを歴史に逆行して、実質、平成年間に身分制度を新たに導入したのですから、これほどの悪政はありません)。