【前回の記事を読む】息子にしかけた“はじめてのおつかい”は「じいちゃんを幼稚園に送ること」

第1章 おつかいとは?

3 息子の「2回目のおつかい」

息子の「はじめてのおつかい」はトラウマを引きずる結果となってしまったため、朝の幼稚園への送りは、私自身がやらざるを得なくなりました。

朝・昼の食事の準備と片付け、息子を幼稚園に送って行って、その合間に妻の病院に顔を出して汚れ物を持ち帰って洗濯。2人分の夕食の準備をして学校に向かう……という、正に「シングルファーザー状態」の生活となったのです。

唯一の救いは自分の夕食。定時制高校のバランスの取れた温かい給食を、生徒とともに食べられたことです。

息子の初めてのお弁当も、もちろん私が作りました。目が回るような忙しさでしたが、不安を抱えて入院している妻の手前、気が張っていて乗り切ることができたのだと思います。夜の学校から帰って来たある晩。いつもは流しに山積みになっている夕食の食器が、全て洗ってあったのです。

この光景を目にした時、嬉しさよりも、余裕のない私の姿が“いよいよ父にこんなことをさせてしまったのだ……”という罪悪感に似た想いが心に湧いたことを覚えています。