【前回の記事を読む】居酒屋作法が身についた?合気道部のキツイ「第二の稽古」

大学生活と合気道

毎週火曜日の昼稽古が師範日でした。師範は大学の先輩でもある遠藤征四郎先生。先生との業務連絡等の対応は幹部になった主務の役割であり、私は三年生幹部になり、その担当に就きました。

遠藤先生の師範日はまずは来られる三十分前には目白駅の改札でお待ちします。学ランで直立不動。ホームから階段を上って来られた先生を確認した時点で「こんにちは!」とご挨拶。そして改札出たところで改めて「こんにちは!」と先生のお荷物を預かり、道場へとご案内します。

基本ご挨拶は二回します。最初のご挨拶は先生に聞こえるように大きな声で。そして近づいてのご挨拶は先生に不快にならないように聞こえる程度にトーンダウン。ちなみに大学構内で遠くに先輩をお見受けしたら、大きな声で「こんにちは!」そしてその半分くらい近づいたら「こんにちは!」そして至近距離になったら「失礼します!」と三段構え? となります。

道場までご案内する遠藤先生との数分間は、何を話をしたら良いか? いつも緊張があり憂鬱な時間でもありました。このような経験が社会生活にも役に立ったように思います。遠藤先生はじめOB・OG先輩諸氏との窓口として学生時代は本当に勉強になりました。

その当時遠藤先生にご連絡の電話を掛ける際は、いつお電話したら良いか? 先生が一番リラックスしてる時間を考え電話をしました(その時代は固定電話でメールなどは無い時代です)。早い時間、遅い時間は当然あり得ません。自分の都合ではなく遠藤先生がいかに気分よく電話に出ていただき、私と事務連絡いただけるか? 遠藤先生の一番都合の良い時間帯に連絡することで話がスムーズに進むことも分かりました。

ですから今頃先生は何をされてるんだろうか? と毎回毎回考えて、考え抜き緊張しながら電話をしました。常に相手を意識し、相手のことを考えて自分が行動すれば自ずと事が上手く進むことも勉強になりました。今のようにマニュアル等はなく、常にその時その時に相手のことを考え状況判断するのです。

その当時の遠藤先生の合気道はキレッキレッでスピードもあり、ちょっとでも気を抜くとけがをします。そんな緊張感もある師範稽古であり先生の一挙手一投足とお話しが大変貴重であり勉強になりました。