【第1章】先んずれば相続税を制す

【コラム】あなたはどっち? 相続税の節税対策が必要な人、不要な人?

最後に不動産ですが、これは少し複雑です。まず不動産の場合、土地と家屋(建物)をそれぞれ分けて評価します。土地はどのような用途で使われているかによって、評価法が異なり、市街地の場合は路線価方式、郊外や農村部は倍率方式で評価します。

市街地の路線価は、国税庁が毎年7月に発表している路線価図で調べることができます。これに対象となる宅地の面積をかければおおよその評価額算出できます。(実際には、形状、位置、道路づけなどの条件により補正されます。詳しくは、税務署にお問い合わせください。)

次に家屋ですが、これは固定資産税の納税通知書に書かれた納税額が、そのまま評価額となります。このように算出したプラス資産の合計から、マイナス資産の合計を引いたものが、相続資産です。

先ほど、この3600万円以下であるようでしたら、そもそも相続税の課税対象ではないと説明しました。逆に言うと、相続資産が3600万円以上ある場合、すべて課税対象になってしまうかのような印象を受けてしまうかもしれませんが、それは誤解です。3600万円という数字は、【第8回】で説明した基礎控除の金額です。基礎控除は 3000万円+600万円×法定相続人の数 という式で表されます。

つまり、3600万円という数字は、あくまでも相続人が一人だけの時の控除額で、相続人がもっと多ければ、相続財産が3600万円以上あっても、相続税の課税対象にはなりません。例えば、お父さんが亡くなって、配偶者である奥さんと、2人の子供が相続する場合、相続人数は3人ですので、4800万円が控除されます。相続資産がこれ以下の場合、相続税はかかりません。

相続税には他にもさまざまな控除が用意されているので、計算上、相続資産が課税対象になっている場合でも、実際にはほとんどかからないことも少なくありません。とはいえ、本書ではすでに述べた通り、相続税の節税対策は被相続人が健在なうちでなくてはできません。

「うちはボロ家だから、大した価値もないよ!」なんてことを言って、高をくくって対策を講じず、思いもかけなかった額の相続税がかかってしまった例は枚挙にいとまがありません。まずは、今の段階でどれくらいの資産があるのかを把握し、相続税対策をするべきか否かを見極めておくことをお勧めします。

※本記事は、2018年7月刊行の書籍『「金融大工」が知っている 一番わかりやすい相続対策』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。