【前回の記事を読む】一難去ってまた一難…金策の目途が立ったのに、肝心の商品が届かない!?

プロローグ 銀行が融資してくれない!

迫る納期、それでも届かないタブレット

中国企業に苦しめられ、中国人に助けられた

アルバイトの中国人留学生たちは、じつに意欲的でした。彼らは私を「老板(ラオパイ)」と呼びます。ボス、社長の意です。

「老板、聞いてほしい」

なにか待遇に不満があるのかと思って聞くと、そうではなく、作業の段取りを彼らなりに理解したうえで、「これはこうしたほうが早い。こうやらせてほしい」と、日本語でちゃんとメモまで用意して提案してくるのです。

そして、興味深かったのは彼らが助け合うことです。作業が遅い子がいると、リーダー格の子が見かねて、アドバイスをします。

「君が遅いのは、このやり方が間違ってるからだ。こうやれ」

遠慮せずにはっきり言い、言われたほうも素直に聞き入れる。最近の日本ではあまり見られない光景に、妙に感心したものです。

中国人留学生が仲間を呼び、工夫と助け合いで作業効率が上がったこともあり、キッティングは順調に進みました。はじめた当初はせいぜい1日に120台程度だったキッティング台数は、終わる頃には1日に1500台を超えるまでになっていました。CHUWIの納期の遅れによって苦しめられたものの、中国人留学生たちに助けられて、無事納期に間に合わせることができたのでした。

どこまで飛躍できるか、さらなる期待

平成27年(2015)の起業以来、私が経営するアジア合同会社は地元徳島県内の教育機関に配備されたITシステムの整備とメンテナンスを請け負ってきました。

そして、GIGAスクール構想事業に参画できたおかげで、売上は平成30年度(2018年度)の3億円、令和元年度(2019年度)の1億3000万円から、令和2年度(2020年度)には35億円へと飛躍的に伸びました。得られたものは売上だけではありません。それまでに培ってきた社会的信用を積み増したことによって、事業規模と事業領域を拡大することにつながっています。

GIGAスクール構想事業がはじまる前までは7人だった当社の従業員は、その頃には正社員14人と嘱託社員11人を併せて全25人となりました。

そして、さらなる飛躍を期待できる出来事が令和3年(2021)に起こりました。大手IT企業によるわが社のM&A(合併・買収)です。M&Aが積極的に行われています。

わが社の場合はGIGAスクール構想事業への参画実績が高く評価され、M&Aを望む会社から申し入れが多数寄せられました。それを受けるための前段階の手続きとして、令和3年11月にアジア株式会社として生まれ変わり、令和4年(2022)3月、アジア株式会社は愛知県名古屋市に本社を置くテクノホライゾン株式会社の傘下に入りました。

当然、双方にメリットがあります。親会社にとっては顧客に対して直販ができる子会社ができる利点が、わが社にとってのメリットはここでは紹介しきれないほど。私とアジア株式会社にとっては新たな可能性を開く大きなチャンスです。

これから新たなチャレンジがはじまります。