第1章 フィリピンの特別永住権を取得するに至るまでの軌跡

人生初の海外、ニュージーランド

入社して半年近く経ったころ、社長が「仕事頑張っているね。ご褒美に海外に連れて行ってあげるからそのつもりで」と言ってくれました。「海外? そういえば、自分はずっと海外に行きたいと思っていたな。やっとチャンスが来たか」と気分が高揚しました。

もちろん、ご褒美といっても遊びで海外に行くわけではありません。当時、第二海援隊ではスイス、香港、ベトナムなどお客様を海外にお連れするツアーを年に数回実施していました。ニュージーランドのツアーを新たに行う計画をしており、担当スタッフとして私に白羽の矢が立ったというわけです。

こうして私の初めての海外渡航先はニュージーランドになりました。成田から直行便で11時間、クライストチャーチ国際空港に着陸します。「えっ、これが、国際空港? めちゃめちゃ田舎じゃないか。なんで、空港に羊がいるんだろう?」 空港の敷地内に羊の群れがいるのを想像してみてください。とんでもない所に来てしまった。カルチャーショックでした。

しかし、このニュージーランドとの関わりが私のその後の人生を大きく変えることになります。私はニュージーランドへの渡航をきっかけに、それまで自分の中に秘めていた海外志向が爆発していくのです。

ニュージーランドでの銀行口座開設や現地の不動産などの案内、ニュージーランドにロングステイあるいは移住を希望するお客様のサポート、子供の留学や現地で会社の設立についての相談など、ニュージーランドに関するありとあらゆる業務を担当させていただきました。本当に頭を抱えることばかりでつらいこともありましたが、お客様と親しく接する機会をたくさん頂きました。

ニュージーランドツアーを担当しなければ、独立はおろか、海外に行くこともなかったかもしれません。最初は異国の地であったニュージーランドも数十回と行くうちに、愛着が湧いてくるものです。ツアーのおかげでニュージーランドに知り合いもでき、いずれはニュージーランドに住むのも良いかも知れないという気持ちになりました。

しかし現実的に、ニュージーランドへの移住を考えた場合、かなりハードルが高いと言わざるを得ません。多くの人が「一般技能カテゴリー」(General Skills Category)で永住権を申請しますが、この部門では「IELTS」という英語試験でのスコアで6・5以上というハイレベルの語学力が必要条件とされます。さらに資産や学歴、ニュージーランド国内での雇用状況などがポイント計算され、一定以上の数値が求められるなど、非常に取得の難易度が高いものになっています。

またもし取得できたとしても、2年間はそれぞれ1年の半分以上の日数をニュージーランドで過ごさなければならないという条件もあります。他にも「投資家カテゴリー」(Investor Category)というものがあります。しかし、まず一般的な投資永住権を見ても、最低300万NZドル(2億2500万円)の投資を4年間続けたことや、一定の英語力と4年間のうち438日間のニュージーランド国内での居住という実績が必要です。

さらに「上級投資家ビザ」というものがあります。年齢制限はなく、英語力も問わないというものですが、1000万NZドル(7億5000万円)以上の投資を3年間行うことなどが条件となっており、現実的にはかなりの資産家でなければ投資家カテゴリーでの永住権取得は不可能です。こうした取得難易度の高さから、ニュージーランドの永住権取得は断念しました。

ニュージーランドの事業に携わっていて、とても勉強になったことがあります。東日本大震災以降、放射能汚染などのリスクを回避するために、ニュージーランドに家族で移住する方が増えました。私は実際にニュージーランドへ移住した方を何人か知っています。しかし、永住権が取得できなかったため、結局日本に戻ってくるということになってしまう方が結構いるのです。これらの実例を見て、 移住をするに当たって永住権がないということは非常に不安定であるということを学びました。

※本記事は、2019年3月刊行の書籍『『日本×フィリピンで実現する 究極のデュアルライフ』』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。